代官山ってどんな街?
代官山ってどんな街?
突然ですが、みなさん、「オーガニック」という言葉、ベビー・キッズ用品選びの際によく聞きますよね。ですが、実際のところ「オーガニック」とは何かご存じでしょうか?
というのも私自身が、なんとなく”健康にも環境にも良さそう”ということ以外、あまりわかっていません……! いい加減ちゃんと知ろうとしなくては、といつも思います。
そこで、今回は、高知県にある寝具メーカー・株式会社ハートの代表取締役・山岡さん、営業担当・竹村さんにインタビューを敢行。ハートは日本で初めて国際オーガニック認証を受けたオーガニック寝具を、自社工場で製造・販売している寝具メーカーとして知られています。
まず「オーガニックとは何か」というお話から、ハートがオーガニック製品を製造するに至った経緯、そしてオーガニック製品が追求する社会的意義についてなど、さまざまなことを学んできました。
ーーー「オーガニック」という言葉はとてもよく耳にしますが、一消費者として「オーガニック」とはなにか、よくわかっていないのが正直なところです。
山岡さん:繊維製品において「オーガニック」と聞くと、まず「オーガニック・コットン」が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。オーガニック・コットンとは、大まかにいうと、”3年以上農薬や化学肥料を使われていない農地で栽培された綿花”のことです。
ーーーオーガニック・コットンは、有機栽培で育てられた綿花のことなんですね。
山岡さん:そうです。それに加え、栽培するにあたって、農薬や化学肥料による深刻な健康被害や、児童労働など過酷な労働環境から労働者を守って製造された綿であることも、オーガニック・コットンを名乗る上での基準となります。
ーーー栽培方法だけでなく、環境や労働者にも配慮した内容でなければならないということですね。ハートは、寝具の会社では日本初の「国際オーガニック繊維基準」の認証を取得したということですが、こちらも同じような基準なのでしょうか。
山岡さん:ハートが認証を取得したオーガニック繊維基準とは、オーガニック・コットンを使用していることはもちろん、繊維製品の製造過程においても有害な化学薬品などを使用していないこと、などを証明するものです。
ハートが取得している認証はいくつかあるのですが、国際認証としては世界共通のオーガニック繊維基準GOTS(Global Organic Textile Standard)とOCS(Organic Content Standard)の2種類があります。GOTSの方がより厳しい基準です。
ーーーどのような審査をもって、この基準はクリアできるのでしょうか。
山岡さん:認証を受けるには、原料から製品になるまでのすべての工程で書類・実地検査を行い、世界共通である”オーガニック繊維基準”をクリアしていることの確認が必要です。
ーーー製品の原材料だけでなく、「製造」や「加工」の工程も厳しくチェックされるのですね。
山岡さん:はい。たとえば、オーガニックのお野菜があり、それを使ったジュースを作るとします。しかし、オーガニックのお野菜を使っていても、ジュースを作る過程で、色味の調整として着色料をいれたり、口当たりを良くするための添加物を加えたりしたら、それははたして「オーガニック」のジュースと言えるでしょうか?
ーーーちがいますよね。作る過程で添加物が加えられてしまっては、せっかくの素材が台無しです。
山岡さん:繊維製品でも同じことと考えます。ハートでは原料となる綿や麻に限らず、繊維からテキスタイルへと加工する過程において有害な薬品等を使用しないなどを徹底しています。
ーーーひとつの製品が出来上がるまでの全行程、細部までこだわりと厳しい基準があるのですね。
山岡さん:また、工場における使用電力の削減や水質環境に配慮した排水を行う、原料の生産から最終製品までのトレーサビリティー(生産履歴の追跡)の保証がある、なども重要です。製品ができあがるまでのすべての工程において、オーガニックであることにこだわりを持って製造しています。
ーーー「オーガニック」について「肌にやさしそう」というイメージだけでなく、「栽培環境や自然、製造に携わる人にも配慮したもの」だということがわかりました。
山岡さん:このようにこだわりぬいて製造してはいますが、製造者が「完全オーガニックです」と自負していても、使用者としてはそれが本当かはわからないもの。そこで国際認証という統一された基準をクリアしたことで得られる証明をもって、みなさまに安心してご使用いただこうということです。ハートは、2009年にGOTSとOCSなどの認証を取得し、それらを毎年更新し続けています。
ーーーそもそも、ハートがこのようなオーガニック製品にこだわったものづくりをするに至った理由はあるのでしょうか?
山岡さん:私自身が幼少期、小児喘息に悩んでおり、それを見たハートの創業者にあたる私の両親がオーガニック製品を作り始めました。当時の日本ではまだオーガニックというものが浸透しておらず、手探りのなかつくりあげたのがハートのオーガニック寝具です。
ーーーなるほど。子を思う親の暖かい気持ちと、未知の世界を開拓する強い信念によって作り上げられたものだったのですね。
山岡さん:私のように小児喘息を持っているお子さんだったり、アレルギーをお持ちの方、皮膚の弱い方は実はたくさんいらっしゃいます。現在アレルギー反応などがない人からすればオーガニックであるかどうかについて重要性を感じないかもしれませんが、有害な化学物質を使用していないオーガニック製品を求めている人は確かにいて、そういった人たちにとってハートの製品は特に喜ばれていると感じます。
ーーーやはり化学物質は体に悪いということでしょうか?
山岡さん:一概に化学物質が全て悪いということではありません。ですが、健康被害が報告されている化学薬品が、世の中の繊維製品に用いられていることがあります。化学物質過敏症の方、皮膚の弱い方などはそういった化学薬品が用いられている製品を使用すると、たとえば頭痛がしたり、皮膚がかぶれたりなどの不快な症状があらわれてしまうのです。
竹村さん:この化学物質過敏症は、花粉症と同様にアレルゲンが体内で蓄積され、許容量を超えたときに症状が現れるといわれています。であれば、現在過敏症でない方にとっても将来的な発症を抑制するために、アレルゲンとなるもの=有害な化学物質を取り込む機会を減らした方が良いのではないでしょうか。その際に、有害な化学物質を使用していないオーガニック製品は有用だと考えています。
山岡さん:便利な化学助剤を使用すれば安価な製品を大量生産することが可能となりますが、アレルギーなどの疾患を持つ方にも、もちろん持たない方にも、安心して快適にお使いいただけるよう「本物のオーガニック製品」を製造しています。
ーーーありがとうございます。今までふんわりとしたイメージしか持っていなかった「オーガニック」という言葉、そして本物のオーガニック製品とは何か、なぜオーガニックが良いのか、についてよくわかりました。
次回は「本物のオーガニック製品」を製造するハートさんが、blossom39オリジナルブランドkodouとコラボして開発・製造くださったベビー布団を中心にお話をお聞きします。
取材協力 株式会社ハート https://www.heart-kochi.jp/